唐草文 からくさもん
唐草文
からくさもん
蔓草が波状にうねって伸びるさまを表した文様。古くはエジプトや東地中海、西アジアに見られ、ギリシア・ローマで盛行し、イラン・中央アジアを経て東アジアに伝わった。多くのバリエーションがある。扇状に開いた葉を持つものを忍冬唐草文というが、実際には忍冬(スイカズラ)を模したものではなく、パルメット(ナツメヤシの葉に似た文様)に起源するためパルメット唐草文と呼ぶべきであろう。扇を半開きの状態にしたものは半パルメットという。ブドウの葉と実をつけたものは、葡萄唐草文と呼ばれる。ナツメヤシもブドウも、たわわに実をつけるため、西アジアでは多産豊穣のシンボルとして愛好された。唐草文は仏教美術とともに南北朝時代の中国に伝わり、朝鮮では三国時代の高句麗にはいり、日本では6世紀以降に見られる。長く無限に繰り返すことが可能なため、細長いもの(梁・柱・軒平瓦)や織物に、あるいは環状に完結させて台座や鏡の装飾として多用された。
(林俊雄)
以上、転載
