琥珀 こはく
琥珀
こはく
琥珀松樹脂の化石で、石炭層の中に松脂岩盤といわれる琥珀の層が見られることがある。北ヨーロッパのバルト海の琥珀は有名で、遠くエーゲ海地域に伝播していることが、赤外線吸収スペクトルの電子計算機による分類で同定されている。アジア地域の産地は、ビルマ、中国の昆明、撫順、サハリンの栄浜で、日本列島内では岩手県久慈、千葉県銚子、北海道石狩浜などが知られている。また、正倉院御物の装飾に使用されている。久慈産琥珀の赤外線吸収スペクトルは、奈良県東大寺山古墳や京都府長池古墳出土の遺物に酷似すると、定性的に同定されている。北海道地域およびサハリン南地区出土の多数の琥珀遺物に使用された産地は不明である。遺物は光酸化による風化(赤色化)で、新鮮琥珀原石と分析結果が一致しないことが多く、風化の問題を解決しなければ信頼できる産地同定は困難である。最近、GC-MS分析によるテルペン類の分類により、北海道の縄文時代〜続縄文時代遺跡出土の琥珀製遺物の大部分にサハリン産琥珀、久慈産琥珀が原石の形で石狩市紅葉山遺跡での使用が推測された。
(藁科哲男)
以上、転載
