荒神谷遺跡 こうじんだにいせき

荒神谷遺跡
こうじんだにいせき

島根県簸川郡斐川町神庭字西谷に所在する弥生時代の青銅器埋納遺跡。1984・85年（昭和59・60）の発掘調査で、7mの距離をおいて二つの埋納坑から銅剣358と銅矛16・銅鐸6が出土した。1ヵ所からの銅剣出土数としては全国最多を誇る。銅鐸・銅矛の同時埋納例としても全国初である。銅剣は2.6m、幅1.5mの隅丸方形の埋納坑に、4列に鋒と茎を水平にして刃を立てた状態で出土した。銅矛・銅鐸の埋納坑は、長さ2.1m、幅1.5mで、銅鐸は3個ずつ2列に鰭を立てて、銅矛は

鋒を交互に向け、刃を立てた状態で出土した。銅剣はすべて中細形C類である。鋳放し銅剣が1本（B62）、2〜5本を一組とした同范品が113本あり、344本の茎に×印の刻印がある。銅矛は中細形a類と中広形a類、同b類の3種類で、刃部に研ぎ分けを行うもの7本、水銀朱を塗るもの（6号）などがある。銅鐸は菱環紐1式（横帯文：5号）から外縁付紐1式までと外縁付紐2式の可能性のある1号がある。特に1号鐸は袈裟襷文の内区に市松文様や重弧文を施す独特な文様を持ち、いわゆる福田型銅鐸に近い。弥生時代中期末〜後期初頭までに埋納されたと推定され、西日本における青銅器分布圏の再検討をはじめ、青銅器の埋納時期や製作地問題など、青銅器をめぐる諸問題の再考を促した遺跡として注目される。

（足立克己）

以上、転載

 

 

 

＊辞典解説文から漢字ピックアップ

鋒
ホウ、きっさき、ほこ、ほこさき

鰭
キ、はた、ひれ