高麗鏡 こうらいきょう
高麗鏡
こうらいきょう
朝鮮半島中世の高麗時代に顕著に発達した銅鏡。青銅鏡が大半を占めるが、白銅鏡も少なくない。一般に銅質が悪く、製作技術も高くない。そのほとんどが中国をはじめ、女真・日本など外国の銅鏡を模倣したもので、高麗独特の形式は皆無に等しい。宋・元など同時代の鏡だけでなく、漢・六朝・唐など古式の鏡を模しているが、その背後には宋代に流行した復古鏡をそのまま模倣したという事情がうかがえる。漢・六朝鏡式には、明光・方格規矩四神・獣帯などの諸鏡式があり、唐鏡式には円鏡以外に八稜・八花鏡がある。唐鏡式の文様には、海獣葡萄文・双龍文・双鳳文などが見られる。宋・元鏡式はもっとも多く、多種多様である。方形・隅丸方形・四稜形・六稜形・八稜形・葉形・鐘形などの諸型式があり、紐にも双紐・三紐などがある。文様の仕上がりは鈍いが、その内容は動物・人物・山水・航海・楼閣など実に豊富であり、また、宋・元鏡の銘文をそのまま写したものまである。そのほか、和鏡をまねた柄鏡や、女真文字を陽鋳したものなどが知られる。
(西谷正)
以上、転載
