頸飾 くびかざり

頸飾
くびかざり

玉（勾玉・管玉・棗玉・臼玉・小玉・切子玉）・牙・角・骨・貝などに孔を開けて紐を通して作り、頸にかける装身具。紐は通常腐食して残っていないが、人物埴輪の表現や出土状況の詳細な検討から、当時の着装方法や形状を推測することができる。わが国では、旧石器時代後期末に北海道で出土した石製小玉や牙玉に起源を持つと考えられる細長い玉が、頸飾の初現と考えられている。縄文時代には、西日本では早期から後期にかけて、貝製や石製の頸飾が用いられるようになる。東日本では前期から中期にかけて、滑石製玉類の頸飾が使用され、後期後半以降翡翠製や蛇紋岩製・珪化凝灰岩製などの小玉の頸飾が一般化する。弥生時代には、引き続き縄文的な勾玉などが用いられるが、碧玉製品が増加し、ガラス製の管玉や小玉が現れる。

古墳時代には、多種多様な勾玉・管玉・小玉から頸飾が作られた。勾玉は初期が翡翠製で、やがて碧玉・滑石・瑪瑙などが用いられる。管玉は弥生時代に比べて大型化し、碧玉が主に用いられる。中期には滑石でも作られるようになるが、後期には減少する。小玉類は水晶・翡翠・碧玉・滑石などで作られ、後期にはガラス製が主流となる。トンボ玉や金属製の空玉、水晶製の切小玉も現れるが、トンボ玉や空玉は外来的な要素を示すものである。7世紀以降は宗教的な用途など特殊な例を除いて、頸飾の使用は廃れ、明治時代に西洋の習慣を受け入れることにより復活する。

（大西智和）

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