櫛描文土器 くしがきもんどき

櫛描文土器
くしがきもんどき

櫛描文で文様を描いた弥生土器。櫛描文は、一般に3本以上の沈線を同時に描く手法の総称で、それのみで文様を構成するもののほかに、縄文や一本描沈線文などと組み合わされることも多い。前期末の東海地方に貝殻による例が見られ、中期初頭の近畿〜中・四国地方で、櫛歯状工具や束ねた棒を用いた櫛描文が急速に定着した。中期末以降、西日本では衰退するが、中部〜東北南部で独自の発達を見せる。地域・時期で施文具や施文方法、モチーフなどに違いが大きく、それぞれの成立・展開の過程も異なることから、これらを一括して櫛描文土器とするには問題が残る。

(安藤広道)

以上、転載