藍田人 らんでんじん

藍田人
らんでんじん
Lantianren

中国・陝西省藍田市の北西約10㎞の陳家村近くで1963年に下顎骨が、また、翌64年に藍田市の東約17㎞に位置する丘陵で顔面の一部を伴う頭蓋化石が発見された。一応、50〜60万年前の原人化石とされているが、近年、古地磁気法などで115万年前とする結果も出され、伴出石器の研究でも78万年よりさかのぼるとされるなど異論がある。頭蓋化石は歯のサイズや縫合の癒着などから30歳くらいの女性とされ、推定脳容量は780ccで、北京原人やジャワ原人よりやや小さい。土圧による歪みが認められるが、眼窩上隆起の発達度や眼窩後狭窄の強さ、あるいは頭蓋冠が著しく低く、骨が極めて厚い点など、頭蓋形態にも北京原人より原始的な特徴が指摘されている。鼻骨は短くて幅広く、歯槽性突顎が見られる。下顎骨も女性のものとされ、第3大臼歯の先天的欠如など、この時代のものとしては稀な特徴が指摘されているが、全体的には北京原人との類似性が強い。

(中橋孝博)

以上、転載