マジョリカ陶器 まじょりかとうき

マジョリカ陶器
まじょりかとうき

スペイン・マヨルカ島が名称の起源の軟質陶器。成形後、錫を含む白濁釉を掛けて焼成する。ルネッサンス期のイタリアで隆盛して各地に広まり、16・17世紀のヨーロッパ陶器の主流となった。大航海時代に世界中に運ばれ、日本へは主に17世紀にオランダ連合東インド会社(V.O.C)によって招来された。このためオランダ陶器とも呼ばれる。日本では口縁部・底部がくびれる寸胴のアルバレルロ形壺の出土が多く、列点文・横線文と2色使いの縦の葉のある蔓草文か幾何学文が描かれるもの、単色釉だけのものがある。しかしヨーロッパで縦の葉の蔓草文は知られておらず、産地は不明である。鎖国期の貿易品流通ルートに沿って出土する。マジョリカの流れをくむデルフト陶器に青花や伊万里を、また伊万里にマジョリカ・アルバレルロをそれぞれ模倣したものがあり、西洋と東洋の陶磁器の交流がうかがえる。

(松本啓子)

以上、転載