殯 もがり
殯
もがり
人の死後、遺体を埋葬するまでの間喪屋に安置し、関係のある人々が、食事や歌舞をともにしたり、よみがえりを願ったりという諸儀礼を行うこと。喪屋は、墳墓域ではなく、居住域または開けた場所に設けられたと考えられ、古代には普遍的に行われていた葬送儀礼とされる。『魏志倭人伝』に殯の萌芽形態ともとれる記事が見られる。中国の殯(ひん)が日本固有のモガリに影響を与え、6世紀頃に殯が完成したとされる。『日本書紀』によると、天皇の殯の期間は非常に長い例がある。これは背後に皇位継承をめぐる問題があったと見られる場合で通常は1年以内である。また、古墳時代を対象とした考古学的な検討によれば、大王以外の人物の殯期間は1週間以上、数十日程度と考えられている。大化の薄葬令以降、殯は王以上に制限され、さらに仏式葬儀の導入や火葬の採用によって消滅へと向かう。
(大西智和)
以上、転載
