モリン・トルゴイ遺跡 もりん・とるごいいせき

モリン・トルゴイ遺跡
もりん・とるごいいせき
Morin-tolgoi site

モンゴル・トゥーブ県アルタンブルラク郡に位置する青銅器時代と匈奴時代の墳墓遺跡。韓国の国立中央博物館とモンゴルの科学院歴史研究所が共同して、2000年に発掘調査した。青銅器時代の墳墓は、平面方形の石槨墓である。石槨は東西2.95m、南北2.30mを測り、四壁に板石を立てて築いた。石槨上部外側には、東西7.20m、南北7.35mほどの範囲に割石を敷いて墓域を示した。内部は盗掘がひどく、土器破片1点と馬蹄などが出土しただけである。匈奴時代の墳墓は、平面形でいうと北半部が半円形であるのに対して、南半部が方形の範囲に低く積石を行っている。その規模は、東西径約14mを測る。墓壙は4段に掘り下げているが、最下段の墓壙は長さ3.5m、幅1.0mの長方形に1.0mの深さに掘り、そこに長さ2.0m、幅0.95m、高さ0.6mの木棺を埋置した。木棺北側に空間を設け、そこには副葬品を埋めた。遺物は最上段、2段目、3段目墓壙のそれぞれの底面のほか、木棺北側空間と木棺木蓋上などから出土した。木棺木蓋上からは、絹に包まれた後漢の規矩鏡破片と、木棺北側空間からは木製容器1点・骨製箸1対・ウシ頭蓋骨・シラカバ樹皮製品・土器甑などが出土した。3段目墓壙底にはイヌ1匹と人1体が殉葬され、小型土器1点が出土した。2段目墓壙底ではウシ下顎骨・大腿骨、人骨片・シラカバ樹皮製品・土器などが検出された。そして、最上段墓壙底からはウマ下顎骨、人骨の脊椎・肋骨・足部、土器などが出土したが、最下段の埋葬方向と直交する南北方向に追葬されたものである。

(西谷正)

以上、転載

 

 

*mapはトゥーブ県アルタンブルラク郡