無文土器 むもんどき

無文土器
むもんどき

朝鮮半島における無文土器（青銅器）時代の指標となる土器。土器の表面に、櫛目文土器の幾何学的文様のような施文がほとんど行われず、無文のものが多いところから、無文土器と呼ぶ。無文土器と総称する土器は、地域や時期によって多様であり、複雑である。無文土器は、粗製でいわゆる狭義の無文土器と、精製の丹塗磨研土器、および黒色磨研土器に大別される。基調をなす狭義の無文土器には、器形で見ると壺・甕・高坏・埦・鉢・甑などがある。砂混じりの胎土で輪積み、あるいは巻上げによって成形される。器表面の調整は普通、なでて仕上げられるが、ときには刷毛目を残すものがある。600～700℃で焼成され、黄褐色・赤褐色・灰褐色などの色調を呈する。地域性や時期差を考えて、いくつかの特色を挙げると、北東部の豆満江流域や東海岸地域では、前半期の粗製の甕に、突瘤文や有孔列点文（孔列文）が見られたり、丹塗磨研の壺や埦が伴う。北西部の鴨緑江流域の初期の無文土器には、線刻による幾何学的文様が見られる。北西部でも大同江流域では、朝鮮ゴマの形をしたコマ形土器が見られ、二重口縁部に刻み目を持つものがある。南部では、前半期に、有孔列点文のある粗製の壺と甕に、丹塗磨研の壺がセットをなす点が特徴的である。後半期には、粘土紐を口縁部に巻きつけた甕に特色があり、黒色磨研の長頸壺が共伴する。無文土器は住居跡・墳墓のほか、一般の遺物包含層から出土する。

日本列島の縄文時代終末期（弥生時代早期）から弥生時代前期に、朝鮮南部の丹塗磨研の壺、そして弥生時代前期後半から後期にかけて、やはり南部の粘土紐（帯）巻き付けの無文土器、ないしは、その技法を濃厚に備えた甕が北部九州を中心に出土する。

（西谷正）

以上、転載