苗沙里窯跡 びょうさりかまあと

苗沙里窯跡
びょうさりかまあと
Myosa-ri-yoji

韓国・慶尚南道咸安郡伽耶邑苗沙里上長命1416番地一帯に所在する、三国時代加耶の土器窯跡。1999年に慶南文化財研究院が調査を行い、全部で6基の窯跡が確認されたが、そのうち前庭部と灰原部を伴う2基が発掘された。窯跡は山稜斜面の自然傾斜を利用した楕円形の登窯で、築造時期は4世紀を中心としている。窯体は風化岩盤層を掘削した半地下式で、傾斜面に沿って斜めに設置されていた。1号窯跡は焼成室の一部と灰原部だけが残っていたのに対し、2号窯跡は上部が流失していたものの、下部は一部残存しており、長さ7m、幅2mであることが確認された。灰原部には多量の土器が堆積しており、六つの層が確認された。窯跡内部から出土した土器は壺類がもっとも多く、高坏・把坏・火炉形器台・牛角形把手付壺などが堆積しており、それによって咸安様式土器についてより具体的な議論が可能となった。それまで阿羅加耶土器の生産と流通について知ることができる窯跡の調査はまったくない状況であったが、苗沙里窯跡を通して、それらの点を明らかにできるようになった。

朴廣春)

以上、転載

 

 

*mapは伽耶邑苗沙里