ニヤ(尼雅)遺跡 にやいせき
ニヤ(尼雅)遺跡
にやいせき
Niya-yizhi
中国・新疆ウィグル自治区民豊県にある都市遺跡。第2次大戦前にM.A.Stein によって発見され、3次にわたる調査が実施された。解放後には、新疆ウィグル自治区博物館・新疆文物考古研究所・日中共同調査隊などによって発掘調査が行われている。河川沿いの遺跡は砂漠に埋没し、東西10㎞、南北5㎞の範囲に散在する。住居は柱や梁をかけ、床と壁は植物繊維と粘土を混ぜて固めている。彫刻で飾った木製家具や日用品が多く、土器や陶器は少ない。ムギ・アワ・ウリなどの種子が出土し、ウシ・ウマ・ヒツジ・ヤギ・ニワトリを飼っている。家畜小屋には飼料のほか、家畜の糞まで乾燥して残っている。当時は水も豊富で、緑が濃い環境であったと考えられる。遺物には後漢鏡や銅銭、ガラスや玉製装飾品、靴などの皮革製品、絹の断片やフェルト・カーペットの切れ端など織物が出土している。また漢字で「司禾府印」と記した銅印や漢文文書も出土し、中国王朝との強い結びつきを示している。木簡はカロシュティー文字で書かれた地元産のものが多く、鄯善王国からの命令や通達、売買の契約文書、帳簿、個人の手紙などさまざまである。この遺跡からは、中国本土と西域、西アジアとの交流を探れる貴重な文物が数多く出土している。
(岡内三眞)
以上、転載
