オルドス式銅剣 おるどすしきどうけん
オルドス式銅剣
おるどすしきどうけん
中国東北地方に展開する青銅器文化をオルドス青銅器文化・綏遠青銅器文化などと称してきた。オルドスは黄河湾曲部と長城に囲まれた地域で、この種の青銅器が多く発見されていたが、この青銅器文化は、内蒙古から遼寧地方にかけて、中国北辺の草原地帯に広く分布し、地域差も認められることから、一地域名を冠することには検討を要する。この文化に属する短剣は殷時代から出現し、戦国時代まで存続するが、一貫して柄と剣身部を一緒に鋳造する一鋳式である。最盛期は春秋・戦国時代に属している。黒海北岸から南ロシアのスキタイ文化と関係が深く、短剣はスキタイのアキナケス型短剣と共通する。関部に笠形の鐔がつき、柄には動物形・双環頭形・環頭形・円板形などが見られる。早期(殷〜西周期)のものは関部に左右に突出した鐔を持つ。柄頭には獣頭や鈴飾を持つものがある。柄には細かい列点文や綾杉文・鋸歯文などを施す。この最古期の銅剣は、先行する新石器文化最末期の骨製石刃短剣と形態が類似しており、これを母体にオルドス地方で成立したと見られている。
(宮井善朗)
以上、転載
