鮑石亭跡 ほうせきていあと
鮑石亭跡
ほうせきていあと
PoseokJeong-ji
韓国・慶尚北道慶州市排洞にある統一新羅時代の庭園跡。遺構は南山の西側山麓にあって、平面形がアワビ貝のような形状に、花崗岩の石材に溝をえぐり込んだ部材をつないでめぐる。その規模は、長径5.9mに短径が4.5mを測る。一方に石甕のような水槽を設けて、近くを流れる渓水から水を引き込むようになっていた。水槽にはもと亀形の石があり、その口から水が出るようになっていたとも伝えられる。遺構の形状から、いわゆる流觴曲水の宴遊が行われたところと考えられる。『三国史記』によると、景哀王4年(927)に後百済の甄萱の兵が、王や王族が宴遊にふけっていた鮑石亭に攻め込んだと記す。
(西谷正)
以上、転載
都の南に広がる南山は仏像や磨崖仏の宝庫。その裾の鮑石亭では、さぞ優雅で華やかな光景が繰り広げられたことでしょう。太宰府の梅花の宴のようだったのでしょうか。鮑石亭には水路も残っています。
後百済の襲撃を受け、一旦はここから逃げ延びたものの、王は自害(殺されたとも)。次の敬順王が高麗に投降して1000年近くも続いた新羅の歴史が終わる、その引金の場所だと思うと、ひんやりした空気に包まれるようです。林の中、寂しさが満ちているような。兵どもが夢の後、というような。
