細石器 さいせっき
細石器
さいせっき
通常、細石器といえば、後氷期(12000年前)以降6000年前まで、ヨーロッパ・アフリカ・南西アジア・カスピ海沿岸・南ウラルの地域で発達する、小石刃の周辺を刃潰しした台形や半月形などの幾何学形の小形石器のことを指す。骨角製の柄や軸に溝を彫って嵌め込み、槍や銛・ナイフや鎌などの刃や逆刺として使用された。東北アジアでは、幅5〜6㎜ほどの石刃が折り取られたまま何の加工もなく道具の刃として使用されている。これらは「細石器」と称されることもあるが、上記の西方のものと区別する意味で、東シベリア・極東地域では「細石刃」という用語が使用されている。細石刃はおよそ2万年前ごろに東シベリアのバイカル湖周辺で発生し、時期を経るにつれ中国北部・朝鮮半島・日本、そしてベーリング海を渡ってアラスカへと拡散する。その終焉の時期は地域によってまちまちであるが、ほぼ新石器時代の始まる時期まで使用され続けている。東シベリアでは、トナカイの角製の細石刃を装着した後期旧石器〜中石器時代の投槍やナイフが多数発見されており、韓国や日本では細石刃のみしか出土しないため、その使用法を類推する上で貴重な情報を提供している。
(小畑弘己)
以上、転載
