三内丸山遺跡 さんないまるやまいせき

三内丸山遺跡
さんないまるやまいせき

青森市三内字丸山に所在する縄文時代前・中期の遺跡。1957年(昭和32)以来、慶応大学などがたびたび発掘したが、この遺跡を有名にしたのは、92年(平成4)の県営運動公園建設に伴う発掘で、マスコミのキャンペーンによって保存され、現在に至っている。遺跡自体は、縄文時代前期円筒下層a式土器から、中期末の大曲1式土器までの土器が出土しているものの、主体となる時期は前期中葉から中期中葉までである。円筒土器文化に特有な土器の廃棄や盛土を持ち、全体では530軒ほどの住居跡や、多数の土壙墓・埋設土器のほか、小規模な環状列石、多数の土偶などの土製品、翡翠製品・骨角器・漆器・植物製品(編み物ーポシェット)などが発見されている。特に、低湿地の植物性遺存体など、自然科学分野による当時の環境復元などの研究は高水準にあるが、一時期の住居跡数、集落構成、土器編年、その他の遺物のアセンブリッヂ(同時期遺物組成関係)の把握など、肝心の考古学的な研究は明確でなく「縄文文明」「縄文都市」などのキャッチフレーズによるイメージ先行のきらいが強い。

(鈴木克彦)

以上、転載