石人・石馬 せきじん・せきば

石人・石馬
せきじん・せきば

5世紀前半から6世紀後半にかけての時期に、主として前方後円墳に立てられた阿蘇溶結凝灰岩でつくられた石製品の総称。福岡県南部・熊本県・大分県・佐賀県に分布し、例外的に鳥取県米子市（旧淀江町）の石馬ヶ谷古墳に石馬・人物が見られる。初期のものは、短甲型ないしは武装石人で、大分県臼杵市の下山古墳・臼塚古墳、福岡県広川町の石人山古墳、高田町の石神山古墳、大牟田市の稲荷山古墳に見られる。豊後と筑後という離れた地域に初現が求められる要因ははっきりしていない。6世紀代になると、質的な変化を見せる。熊本市の富ノ尾古墳群の女性、氷川町の姫ノ城古墳の蓋・靫・翳、熊本県菊池市の木柑子高塚古墳の貴人・巫女・裸婦・伎人、福岡県八女市の童男山3号墳の赤ん坊を背負った女性など変化に富むようになっている。『筑後国風土記』逸文には、筑紫君磐井の墳墓とされる八女市の岩戸山古墳の別区に、解部・偸人・石猪・石馬・石殿・石蔵が、墳丘に石人・石盾が樹立されていた様子が記述されているのは象徴的である。

（佐田茂）

以上、転載