戦跡考古学 せんせきこうこがく
戦跡考古学
せんせきこうこがく
1984年(昭和59)沖縄の考古学研究者當眞嗣一によって初めて提唱された研究分野。当時の文部省による教科書検定に際して、『沖縄県史』所収の沖縄戦体験者による聞き取り記録の引用が認められなかったことを契機とする。當眞は沖縄戦に関係する戦跡の考古学的調査と、その科学的な資料化を意図していたが、やがて全国的な関心を呼び、最近では太平洋戦争だけでなく、近代の戦争にかかわる施設や場所を考古学的に調査・研究することを含む。沖縄では旧日本軍が構築した陣地や病院などの施設や壕、一般住民が避難した自然洞窟や死者埋葬地などの調査例がある。全国的には他の時代の遺跡の調査に伴って戦跡を調査した事例が多く、砲台や飛行場関連施設などが知られる。戦跡考古学の提唱以降、近代の軍事関連施設に対する関心が高まり、これらを戦争遺跡と呼んで調査・研究し、保存することが進められている。また、その対象は旧日本軍の軍事行動範囲であるアジア地域へ広がりつつある。
(池田榮史)
以上、転載
