泉州湾沈没船 せんしゅうわんちんぼつせん

泉州湾沈没船
せんしゅうわんちんぼつせん

1973年、中国・福建省泉州后渚港内の浅瀬で発見された南宋のジャンク船。福建省の関係各機関の研究者を中心とする「泉州湾古船発掘領導小組」により発掘調査された。船の上部はすでになく下部のみが残っていたが、尖った船底・龍骨・隔壁、三重に張られた舟板など、福建中世の造船技術が明らかとなった。船倉から出土した遺物は、南海産、あるいはアラビア半島産の香料、薬物が第一位を占め数量も多かった。木の荷札・金属器・革製品などのほか、船員の日常用の陶磁器や果物の種、動物の骨その他、中国銭も504枚ある。最新の銅銭は咸淳元宝(1265〜74)であった。これらのデータから、船は当時東西交通の要衝であったシュリヴィジャヤから帰航したもので、1277年7月台風にあって沈没したものと推論されている。当時この港は、折しも兵禍で無人となったままであったため、後世に残ったのであろう。

(森本朝子)

以上、転載