沙苑文化 さえんぶんか
沙苑文化
さえんぶんか
Shayuan culture
中国・黄河中流域の後期旧石器代末〜仰韶文化段階の空白期に想定された文化。陝西省朝邑県と大荔県の境付近の砂丘は古代から沙苑と呼ばれ、中国社会科学院研究所は1955年に同地区の複数の地点を踏査し、細石刃核・エンドスクレイパーなどは、付近の仰韶文化の段階にはなく、中国北方に類例が多いこと、篦状石器や尖頭器などの剝片石器は中国北方に少ないこと、新石器時代の特徴である打製石鏃があること、仰韶文化段階の土器や打製農具がないことから、北方細石器文化や仰韶文化と異なる中石器時代から新石器時代初頭にかけての文化の所産を想定して、沙苑文化と仮称した。砂丘の採集品のために層位的根拠を欠き、時間幅のある遺物を一括した点に問題があるので、先仰韶文化の裴李崗文化や老官台文化以前に当たる8000〜12000年前の空白期を埋める考古学的調査が必要である。
(佐川正敏)
以上、転載
*辞典解説文より漢字ピックアップ
荔
リ、レイ、おおにら
篦
ヘイ、かんざし、すきぐし、の、へら
裴
ハイ
