史道洛墓 しどうらくぼ
史道洛墓
しどうらくぼ
Shidaoluo-mu
中国・寧夏回族自治区固原県南郊郷小馬荘村に所在し、唐の左親衛(皇太子の護衛官)で顕慶3年(658)葬の史道洛(665年没)とその妻、康氏(646年没)の合葬墓。1995年、日中聯合原州考古隊が発掘した。出土した史道洛の頭骨計測値からコーカソイドとされる。墓の構造は、4天井を過道上に有する地下式洞室墓である。過道下端に置かれていた墓誌の手前に●(火に免)火跡がある。墓室入口の封門は、黄・白・緑に彩色された木製扉である。甬道奥の墓室は平面3.7×3.7mの方形で、最奥部中央に2.3×1.0mの棺床がある。墓室壁面は金・銀・赤・白・黒・緑・黄色の極彩色壁画で覆われていたと思われるが、発掘時すでに墓室天井が崩落していたため小断片でしか残存しない。出土遺物は墓誌、金銀極彩色の獣面・人面鎮墓獣1対、武人俑1対・木製馬俑1対・白磁容器・木製容器・開元通宝、東ローマのユスティヌスⅡ世 (Justin Ⅱ, 在位565〜578年)金貨、高鉛ガラス六曲坏・ガラス玉付金銅飾などで、墓室床に残る漆器痕跡から、棺床上および俑以外の主だった遺物は、正倉院宝物と同様の黒漆塗りで、鍍金金具の木竹櫃に入れられて副葬されていたと考えられる。
(谷一尚)
以上、転載
