島内地下式横穴墓群 しまうちちかしきおうけつぼぐん

島内地下式横穴墓群
しまうちちかしきおうけつぼぐん

宮崎県えびの市大字島内に所在する地下式横穴墓群。

(中略)

地下式横穴墓は、古墳時代中期から後期にかけて、宮崎平野部から内陸部にかけての地域と、大隅半島の平野部で盛んに造営された墓制である。従来、地下式横穴墓は特別なものを除き、墳丘は持たないと見られていたが、トレンチ調査の結果、島内では基本的にそれぞれの墓が、墳丘を有していたものと推定された。副葬品は質・量ともに豊富である。たとえば短甲は7領、は3鉢が確認されている。蛇行剣も9振出土しており、同一の遺跡からの出土数としては突出している。人骨は約200体が出土している。人骨や植物遺体保存状態が良好なものも多く、南九州古墳時代人の形質・文化・生活様式を知る上で極めて貴重な資料である。人骨の分析からは、縄文人的な特徴と渡来人的な特徴を合わせ持つことから、ある程度渡来系集団の遺伝的影響を受けた人々が生活していたと推定されている。

(大西智和)

以上、抜粋転載

 

2014年、墓群で最大級の玄室を持つ139号墓で、最多・最上位の副葬品が大量に出土。2体ともに場を埋め尽くすほどの武具。300本もの矢。完存の甲冑セット。発見者は、目の前の景色に震えたのではないでしょうか。

2016年にはこの副葬品の中から象嵌が見つかっています。説明会時点では「銀を確認」と。しかも鍛治具に象嵌、というのは、日本列島でも朝鮮半島でも初とのことで、今後の研究成果が楽しみです。

それにしても、なんと美しい土地でしょう。

内陸の最奧で川内川を抱え、遠くに山並みを見る悠大な盆地の素晴らしさ。

この景色、この感じは、峰を挟んで北側の、球磨川を抱えた球磨盆地ととても似ています。現地に立つと、どちらも、文化の薫り高く暮らした人々がいたのだろうと、思えます。