十三行遺跡 じゅうさんぎょういせき
十三行遺跡
じゅうさんぎょういせき
Shisanhang-yizhi
台湾台北県に所在し、台湾島北部沿岸の砂丘地に立地する、初期鉄器時代の遺跡。1950年代に第1回の発掘調査が実施されたが、80年代後半、大規模な建設工事に伴い、台湾中央研究院歴史語言研究所が緊急発掘を行った。遺物の中で、焼成が硬く格子文が施されている土器は最も典型的なもので、「幾何印文陶器」と呼ばれている。このような土器は中国大陸東南部地方まで広く分布しているため、先史時代の台湾と大陸の関係を研究する手がかりとして重要である。石器の出土は比較的少なく、鉄器・青銅器・金・銀・磁器・瑪瑙・ガラス・貝殻・貨銭などが出土している。これらの一部は大陸との交易から得た輸入品ではないかと推定される。また、鉄器を生産する工房跡が発掘され、台湾先史時代における最初の製鉄技術が初めて確認された。墓は合計300基近くあり、屈葬が主流をなしていることから、台湾北部のカタガラン民族と深くかかわる資料として、注目を浴びている。十三行遺跡の遺物を典型として、十三行文化が設定されており、ほぼ紀元前後から200~300年前までの間、台湾島の北方地域に分布する鉄器文化と考えられる。
(陳有貝)
以上、転載
数年前、宮崎県の西都原考古博物館で十三行遺跡の特別展があり、ちらしに掲載された人面土器の美しいデザインと表情にひかれ、足を運びました。最大の目的は、十三行遺跡を発掘された臧振華先生が来日される講演会。
多くの人骨が語る、南太平洋との繋がりの可能性。
ヒエラルキーが形成されなかったように見える社会構造。(装飾品も交易品も集中せず、満遍なく墓に入っている)。
製鉄技術と土器や土偶の芸術性。
興味尽きないお話でした。以来、最大に興味を持っている遺跡の一つです。
台湾最北の現地では立派な博物館の屋上から大海原を一望でき、感動しました。南太平洋から中国大陸まで、潮に乗って交流し、交易を行い、千年以上も平和に続いた社会とはどんな世界だったのでしょう。
古代人に学びに、また現地へ行きたい。
