小銅鐸 しょうどうたく

小銅鐸
しょうどうたく

小型の銅鐸を指す「小銅鐸」という用語は、現在、①朝鮮半島で出土する鐸形銅製品(朝鮮式銅鐸とも)、②朝鮮式小銅鐸の系譜を引く列島産品、③畿内地方を中心に列島で独自に発達した「銅鐸」の小型模倣品の少なくとも3種を含んでいる。ここでは、主として①②について説明する。小銅鐸の起源は、中国の殷代に見られる有紐有舌の銅鈴にあるとされる。中国東北地方では、遼寧省寧城県孫家溝、喀左県果木樹営子、凌原県三官などで出土しているが出土数は少なく、また大きさを違えたセットで出土する例があり、扁鐘として用いられたとも考えられている。朝鮮半島では、細形銅剣文化期の初期から見られ、忠清南道大田槐亭洞のものが最古である。古式のものは舞幅と裾幅の差が小さく、円筒形に近い。紐は低く、紐の付け根は舞端とほぼ一致する。新式のものは裾広がりになる傾向にある。型持穴は身部両面と両側縁の中央部に各1個設けられる。鋳型にピョンヤン出土と伝えるものがあり、また製品も夫租薉君墓・貞柏洞・梧野里などから出土しており、ピョンヤン付近は一つの分布の中心といえる。出土状況は他の青銅器類と異なることなく、通常は副葬品として、武器類などを伴うことが多い。

列島においては、朝鮮半島からの搬入と見られる小銅鐸が大分県別府遺跡から出土している。このほか特に九州地方において、朝鮮式系と見られる銅鐸が散見される。福岡市今宿五郎江遺跡、前原市浦志遺跡、大分市多武尾遺跡などであるが、これらの中には福岡県嘉穂町原田遺跡のように裾部に文様を持つなど、列島産としての特色を持つものも見られる。なお、小銅鐸鋳型は福岡県須玖岡本遺跡、福岡市雀居遺跡などで出土している。なお、③の銅鐸模倣品は主として近畿以東で見られるが、福岡県大南遺跡出土の突線を持つ小銅鐸もこれに含まれるとされる。

(宮井善朗)

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