シニェリニコヴォⅠ山城 しにぇりにこゔぉⅠさんじょう

シニェリニコヴォⅠ山城
しにぇりにこゔぉⅠさんじょう
Sinel’nikovo

ロシア・沿海州オクチャブリスキー地区シニェリニコヴォ村の西1.2㎞にある靺鞨・渤海時代の山城。沿海州の西南部、ラズドリナヤ(スイフン)川の右岸、谷との比高差120mの山頂に位置する。東西260m、南北78mで、周囲が約700mあり、山城の境界は頂上の外郭線と一致している。南側と南西側が石の外装のある堡塁によって、東側は土塁によって防備され、北側の境界線は自然の切り立った崖面となっている。発掘により堡塁には、靺鞨と渤海の2時期があることが明らかとなり、食い違い式城門を南側に持つことも判明した。城内東側土塁の近くから、炕(オンドル)のある平地住居跡と靺鞨型の土器を出土する竪穴住居跡がそれぞれ1軒ずつ検出されている。遺跡が靺鞨から渤海への過渡期のものであり、戦略的な立地を有することから、この山城が渤海のスイフン川流域への進出と深くかかわっていたことが指摘されている。

(清水信行)

以上、転載