曽畑式土器 そばたしきどき
曽畑式土器
そばたしきどき
九州地方における縄文時代前期後半に編年される土器型式。熊本県宇土市曽畑貝塚出土の土器を標準資料として、1935年(昭和10)小林久雄によって型式設定された。曽畑式土器の器形は深鉢丸底が基本で、壺・埦などもある。胎土に滑石を含んだものもあり、輪積みによる成形、器面の調整は丁寧なナデが全体的に施されるが、中には粗雑なケズリのものもある。外面のほぼ全面と、内面の一部に細い箆状、棒状、植物の茎を施文具として、刺突文・鋸歯文・平行線文・綾杉文などを連続的に組み合わせて幾何学的模様を施している。曽畑式土器は文様帯の構成によって3〜4式に細分される。分布は北は朝鮮半島の南端から、南は沖縄本島まで広がり、その距離は950㎞に及ぶ。古式の曽畑式土器は長崎県の西彼杵半島から佐賀県唐津平野の地域、発展期の土器は西九州全体に広がりを見せ、九州脊梁山地、海岸線では種子島・屋久島などに分布するが、熊本平野を中心とする有明海周辺に多い。終末期の土器は、九州脊梁山地を越えた内陸部や南島の縁辺部に見られる。曽畑式土器の生成について、轟式最終期の野口・阿多タイプに求めるものや、朝鮮半島南岸地方に分布する櫛目文土器に求める説がある。
(杉村彰一)
以上、転載
*辞典解説文から漢字ピックアップ
箆
ヘイ、かんざし、すきぐし、の、へら
