石窟庵 せっくつあん
石窟庵
せっくつあん
Sokgulam
韓国・慶尚北道月城郡陽北面凡谷里に属し、吐含山の東側中腹、標高565mの所に立地する石窟寺院。統一新羅時代の景徳王10年(751)に、金大城が創建したと推定される。1913・23年(大正2・12)に大がかりな補修が行われた。岩壁の下、自然の湧水のある所で、石材を巧妙に組み立てた上に、封土墳のような盛土を行って、人工の石窟が造られている。石窟を主拝殿とする寺院建造物がその前面にあり、それら全体を石仏寺と呼ぶが、一般には石窟庵と呼ばれる。石窟は、平面円形の主室と横長の長方形の前室、そして、それら二つを連結する間道もしくは扉道から構成される。入口は、南東すなわち東海(日本海)側を見下ろす位置に開いている。主室から前室までの長さは約14.3mを測る。主室の天井は穹隆状をなし、その上を封土で覆っている。前室には、もともと屋根がかかっていたと思われ、1963年の改修時には、入母屋造りの木造建築で被覆された。前室の左右両壁に八部神衆を4体ずつ、花崗岩の板石で陽刻したり、前室の北壁左右に仁王像1体ずつ、間道左右には四天王像がある。間道から主室に入ると、八角の双柱が立つ。主室の中央には、結跏趺坐、降魔触地印の高さ3.26mの釈迦如来坐像が、高さ1.58mの台座の上に安置されている。この本尊の周囲の壁面には、後面中央に十一面観音像と、その左右に5体ずつ合計10体の羅漢像を、また入口左右にはそれぞれ天部像と菩薩像を1体ずつ配置している。
(西谷正)
以上、転載
