水原城跡 すいげんじょうあと

水原城跡
すいげんじょうあと
Suwonseong-ji

韓国・京畿道水原市に残る李朝（朝鮮）時代の邑城跡。「華城」とも呼ばれた。李王朝第22代正祖が建造したもので、1793年（正祖17）の末から翌年初めにかけて築造が開始され、3年近くの歳月を費やして、1796年の秋に完成している。邑城の規模や築城技術などの工事概況は、『華城城役儀軌』（1800年）に詳しい。城壁は八達山の稜線から山麓にかけて、周囲およそ5㎞にわたっている。城壁には、南門である八達門をはじめとして、甕城形式の4ヵ所の門楼、七つのアーチ状の水門を持つ華虹門のほか、北と南に二つの水門・雉城・暗門・敵台・弩台・空心墩・烽墩・砲楼・将台・角楼・舗舎などの諸施設がある。城内には行宮・客舎・華請館・華寧殿・城神祠などの主要建物群が配置される。そして城外には社稷壇・文宣王廟・迎華亭・杭眉亭などもあった。このように完成された城郭を見ると、正祖はここを離宮として造営したことがうかがわれる。1979年には、4年余りの歳月をかけた本格的な復元工事が竣工し、往時の堂々とした面影を見せてくれる。

（西谷正）

以上、転載