垂楊介遺跡 すいようかいいせき

垂楊介遺跡
すいようかいいせき
Suyanggae-yujeok

韓国・忠清北道丹陽郡赤城面艾谷里垂楊介の南漢江岸にある。忠州ダム水没地域文化遺跡発掘調査によって、7次(1983~85・96・2001年)にわたって調査された。全調査面積は1250㎡と、韓国では最も広く発掘された旧石器時代遺跡である。文化層は、中期旧石器時代文化層(Ⅴ層)~無文土器(青銅器)時代文化層(Ⅱ層)があり、礫層直上で台石を利用した直接打撃で作った削器・尖頭器・クリーバーなどの石器が出土した。本遺跡で最も多く遺物を出土したのは、後期旧石器時代文化層(Ⅳ層)であり、(1000点以上)、その石器材料としては90%以上が頁岩角礫が利用されている。50ヵ所以上の石器製作跡(遺物集中区)が発見されている。

石器の種類としては、削器・掻器・ハンマー・細石刃石核(195点)、細石刃・石刃石核・石刃・有茎尖頭器(55点)以外に、多様な型式のハンドアックスやチョッパーなどがある。九州地方の剝片尖頭器と類似する有茎尖頭器は、本遺跡の出土量が韓国で最も多く、しかも最初に発見されたため、剝片尖頭器朝鮮半島

起源説の契機となった。また、多量の細石刃石核は剝片系の楔形細石刃石核を主体とするもので、多様な剥離技術が接合資料をもって復元されている。東北アジアにおける細石刃文化の拡散を考える上で貴重な遺跡である。なお、有茎尖頭器と細石刃石器群は集中区の平面的な分布を違えている。本文化層からは16400BPと18630BPのC14年代が得られている。

(小畑弘己)

以上、転載