珠洲焼 すずやき

珠洲焼
すずやき

石川県能登半島の先端、珠洲市南西部および鳳珠郡能登町(旧珠洲郡内浦町)を中心に分布する中世の須恵器系土器窯の製品。戦後の珠洲郷土研究会による分布調査に基づいて、1961年(昭和36)以降、石川考古学研究会が調査を行い、中世の窯跡群としての輪郭を明らかにした。これまで内浦に面した南北約5㎞、東西約2㎞の範囲に3群10数基が分布するほか、外浦でも1基が確認され、合計25基前後の窯跡が確認されている。古代の須恵器生産技術を踏襲した灰青色の器肌の胴部に叩き文や櫛目文などを施すものや、印花文・草樹文を付した壺類が目立つ。その経営に関与したのは、山林・耕地・浦津の権益を把握する有力寺社と推定され、日本海域の港湾都市の発達に依存しつつ、その沿岸各地に商業圏を拡張した。製品の分布圏は加賀および能登半島から北海道南部にまで広がる。12世紀中頃〜15世紀に壺・甕・鉢を量産したが、15世紀末に越前窯におされ衰退した。

(前川要)

以上、転載

 

 

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