タガール文化 たがーるぶんか
タガール文化
たがーるぶんか
Tagar culture
ロシア・南シベリア、ミヌシンスク盆地を中心としたエニセイ中流域に広がる。かつて「ミヌシンスク・クルガン文化」と呼ばれ、初期遊牧民文化特有のおびただしい数の青銅器で古くから注目されてきた、独自色の強い牧畜主体の文化である。1960年代にダム建設で水没する多数の遺跡が調査され、現在は古墳を中心とした分析から普通4期に区分され、BC7〜AD1世紀に年代づけられている。遺跡として大半を占める古墳群のほか、数十ヵ所の集落跡に加え、数ヵ所の青銅器埋納デポ、鉱山跡がこの時期と推定されている。古墳群は基本的には単独の方形石囲いの古墳から構成される。構成する古墳の数、石囲いの形態や規模、墳丘の規模、主体部の構造・規模、葬法など複雑な変化が認められ、社会構造の著しい変化の反映と推定される。後半には高さ11m、石囲い一辺70m、重さ50トンもの立石が四隅と各辺の中間に配されたサルブイク古墳のような最大の巨大墳も登場し、100体以上の遺体を重葬後に主体部を墓室ごと焼く風も出現した。また終末期にかけて遺体のミイラ化も一部で行われたほか、土・石膏製のデスマスクの製作も行われた。
(藤川繁彦)
以上、転載
【編集注】
*mapは「ミヌシンスク盆地」の大体の場所確認のため「ハカス共和国」を表示しました。解説文にある「ミヌシンスク盆地」はハカス共和国と、川を挟んで東側のクラスノヤルスク地方にまたがる盆地。
