鉄鍑 てつふく

鉄鍑
てつふく

煮沸に用いる鉄製容器であり、釜とも呼ばれるが、時代・地域によって形態は様々である。楽浪地域では黄海南道殷栗郡雲城里7・8号墳や、黄海北道黄州郡順天里上洞などで高台を持つ深鉢形の鉄鍑が出土している。原三国(三韓)時代の墳墓である慶州市舎羅里130号墳や、金海市良洞里162号墳では砲弾形の鉄鍑が、良洞里318号墳では胴部がく字形に屈曲する鉄鍑が出土している。三国時代新羅の積石木槨墳である天馬塚や飾履塚では、扁球形の胴部に幅広の鍔をめぐらせた鉄鍑(釜)が出土しているが、これらは漢式鍑の系譜を引くものである。

(高久健二)

以上、転載