馬 うま


うま

奇蹄目ウマ科ウマ属の一種で、他にシマウマ・ロバが含まれ、いずれも草食性。現生ウマは北アメリカ原産で、鮮新世末期(170万年前)から更新世に、氷河期の海面低下によって、何度も出現したベーリング陸橋を渡って、ユーラシア大陸に広がったが、故地北アメリカでは絶滅した。ウマは草原を求めて群れをなして季節移動を行うため、後期旧石器時代には重要な狩猟獣となり、群れを対象とした追い込み猟がヨーロッパで行われたことが、遺跡から出土する大量のウマの遺存体からわかる。ウマが最初に家畜化されたのは新石器時代末、中央アジアのステップ地帯とされ、BC4300年ごろのウクライナのデレイフカ遺跡出土例が古いといわれているが、後世の混入の可能性も指摘されている。かつて縄文貝塚からウマの出土が珍しくなく、林田重幸は縄文時代後期にトカラウマのような小型馬が移入され、古墳時代に木曽馬相当の中型馬が移入され、小型馬は島嶼部に追いやられたと考えたが、「魏志倭人伝」の「馬なし」という記載との齟齬が指摘されていた。そこで縄文馬とされていた骨を直接年代測定すると、すべてが後世の混入であったことが判明した。実際に日本列島でウマが系統立てて追えるのは、古墳からの馬具の出土と軌を一にし、古墳時代中期、5世紀前後の可能性が高い。ウマは生物兵器として軍事的に大きな戦力となり、各地の支配者が競って馬産に努めたと考えられ、長野県から山梨県にかけて古代の牧が連なる。

松井章)

以上、転載

 

 

 

 

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