有珠モシリ遺跡 うすもしりいせき
有珠モシリ遺跡
うすもしりいせき
北海道伊達市有珠町に所在する縄文時代晩期から続縄文時代前期にかけての埋葬遺跡。有珠湾の入口にある約1万㎡の小島に立地する。陸から150mほど離れているが、干潮時には陸続きになる。札幌医科大学が古人骨研究のため1985年(昭和60)から5ヵ年にわたって発掘調査した。調査面積は80㎡である。21ヵ所の墓壙が発見された。2ヵ所が縄文時代晩期で、他は続縄文時代恵山文化期に属する。恵山期の墓には、北海道では珍しい改葬が多く見られた。埋葬について注目されたのは、貝輪を伴った人骨の出土である。恵山期の7号墓では、南海産イモガイ製の縦型貝輪が発見された。縄文時代晩期の16号墓からは、オオツタノハガイ製とベンケイガイ製の貝輪を装着した女性の合葬骨が発見された。遺物では、玉類や垂飾などに加工された多数の貝製品が出土し注目された。改葬墓や南海産貝輪など北海道における本州文化の影響を示唆する遺跡として重要である。
(大島直行)
以上、転載
