垣曲商城遺跡 えんきょくしょうじょういせき
垣曲商城遺跡
えんきょくしょうじょういせき
Wanqu Shangcheng-yizhi
中国・山西省垣曲県に所在する殷代前期の城郭遺跡。黄河とその支流・亳清河によって三方を囲まれた、比高差50m余の台地の先端に位置する。平面形は台形で周囲は推計1470mを測る。城壁の一部が特異な二重構造を持ち、さらに西壁沿いには濠を設けるなど、立地と合わせて高度な防御機能を付与されていたと推測される。存続期間はおおよそ二里岡期の全期間であり、鄭州商城・偃師商城とほぼ一致する。城郭内東寄りの東西約70m、南北約80mの一帯に集中して、6基の大型建築基壇が発見されている。出土土器は二里岡文化の中心地のものと同一であり、遺跡周辺の在地文化の土器とは明確に異なる。垣曲商城の性格については、東下馮商城などと同様に「方国の都」とする説もあるが、高度な防御構造と文化的孤立性に照らせば、殷王朝が黄河以北の山西南部地域をにらんで配置した軍事上の拠点と見るのが妥当であろう。
(鈴木敦)
以上、転載
*mapは垣曲県
