夏家店下層文化 かかてんかそうぶんか

夏家店下層文化
かかてんかそうぶんか
Xiajiadian-xiaceng wenhua

中国・北方地域の内蒙古自治区東部、遼寧省西部から吉林省奈曼旗を含めた遼西地区一帯に広がる青銅器時代前期の文化。1935年、赤峰紅山後遺跡の調査で青銅器を伴う石棺墓と第一住地の青銅器文化に対して、赤峰第二期文化が設定され、東北アジアにおける初期青銅器文化の状況が初めて考古学的に明らかにされた。しかし、1960年内蒙古赤峰市夏家店遺跡の発掘調査の結果、それまでの赤峰第二文化の下に未知の新たな青銅器文化層が発見されたのにちなみ、新しく夏家店下層文化が設定され、従前の赤峰第二期文化は夏家店上層文化と改められた。その後、内蒙古自治区の寧城県南山根遺跡や赤峰市蜘蛛山遺跡などで同様な層位関係が確認され、夏家店下層文化が夏・殷時代併行期の青銅器時代前期のものであることがわかった。C14測定年代もBC2410〜1890年を示し、紅山文化より遅いことを証明している。

この文化の分布は広範囲で、北は西拉木侖河以南の吉林省奈曼旗、南は燕山南麓の唐山市や承徳市、東は遼河以西、西は囲場一帯にまで及んでいる。主な遺跡に南山根・大甸子などがある。特に、大甸子遺跡では城塞跡・墓地などのほかに小型の青銅器や二里頭文化と同じ型式の爵・あり、北方地区と中原との関係を知る上で重要な遺跡である。土器は実用と副葬用に違いが見られ、前者は手捏ねを主とするが、一部の土器にロクロの痕跡があり青灰色を呈し、表面に縄文がある。後者は焼成温度が低く、胎土が赤色を呈し、表面が黒色で磨かれる。器形には区別がなく、尊・鬲・甑・盆・罐・鼎・盤・豆・鬹・爵などがある。この文化の系譜については、1974年、敖漢旗小河沿南台地遺跡の発掘で、紅山文化の後の文化である小河沿文化の上に、夏家店下層文化が重なる層位関係が確かめられており、この地域の編年として紅山文化→小河沿文化→夏家店下層文化→夏家店上層文化の大筋が明らかとなった。また夏家店下層文化を燕山を境に南北二分し、地域性の違いを認める論考もあるが、夏家店下層文化の中心は燕山の北であるため、燕山の南は土着の文化と夏家店下層文化が融合あるいは接触したものと考えられる。

(横田禎昭)

以上、転載

 

 

*辞典解説文より漢字ピックアップ


カク、レキ、かなえ


カン、かま
意味:おけ。水を汲み上げる器


テイ、かなえ


ズ、トウ、まめ、たかつき
意味:供物をのせる器、春秋時代の量の単位



意味:陶器の一種。注ぎ手と取っ手のある三盆足の蒸し器。


シャク、さかづき