焼締 やきしめ

焼締
やきしめ

特定の素材のもとでの陶磁器の焼成状況をいう用語で、粘土を成形した器を乾燥させ、高火度の窯で堅く焼き締めることをいう。技術用語的には釉薬の有無を問わないが、日本ではふつう焼締陶と同義に使う。日本での陶磁器の分類は土器・陶器・磁器などの用語を用いるが、区分はあまり厳密ではない。陶器には軟質施釉陶器と硬質無釉陶器があり、後者を一般に焼締陶と呼ぶ。無釉で1200℃前後以上の高火度で堅く焼き締まり、磁器のように完全な不透水性を持たず、陶器のような透水性も持たない中間的な存在である。備前焼や常滑焼・信楽焼などが典型である。欧米では陶磁器の分類基準は比較的厳密で、米国窯業協会が1950年に発表した分類法では、磁器(Porcelain)、半磁器(Semi-porcelain)、陶器(China)、半陶器(Semi-china)、炻器(Stoneware)、土器(Earthenware)に分類される。この分類は必ずしも日本や中国の陶磁器の分類法として有効ではないが、焼締陶は「耐火粘土を主成分とする焼物。釉の有る無しを問わない。吸水率0より10%まで」とされる炻器の範疇に入る。

(上田秀夫)

以上、転載

 

 

*辞典解説文より漢字ピックアップ

炻器
セッキ